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Wix StudioとWordPressの違いは?Web制作の最適解を選ぶ7つの視点

  • 田中景
  • 11月10日
  • 読了時間: 9分

新しいWebサイト制作やリニューアルの際、プラットフォーム選びで「Wix Studio」と「WordPress」のどちらを選ぶべきか悩んでいませんか? 

「クライアントワークにはWix Studioが効率的?」「いや、シェアNo.1のWordPressが手堅い?」と、情報が多すぎて決め手に欠ける方も多いでしょう。

この記事ではWeb制作の主要な選択肢であるWix StudioとWordPressについて、公式情報などの客観的な事実に焦点を当て、その根本的な違いを7つの視点から徹底的に比較・解説します。

読み終えればあなたのプロジェクトの目的、スキルセット、そしてクライアントの要望にとって最適なプラットフォームが明確になり、自信を持ってツールを選定できるようになります。


こんなお悩みお持ちでないですか?

「ノーコードで素早く高品質なデザインを実装したいが、後で機能的な限界にぶつかるのが怖い…」

「WordPressは自由度が高いと聞くけれど、サーバー管理や頻繁なアップデート、セキュリティ対策の手間が重すぎる…」

「Webデザイナーとして、制作効率と保守管理のしやすさを両立できるプラットフォームはどちらだろう?」

「クライアントに納品した後、専門知識がなくても更新してもらえるようなサイトを作りたい…」


このような、Web制作 プラットフォーム選定における具体的な悩みや、Wix StudioWordPressカスタマイズ性運用コストに関する疑問は尽きません。

この記事では、Wix StudioとWordPressの最適な選択を導き出すために、以下の7つの視点(+基本的な違い)で両者を比較検討していきます。


サービスの特徴

両者を比較する上で最も重要な前提は、その提供形態の違いです。


Wix Studioは「SaaS」

Wix Studioは「SaaS (Software as a Service)」モデルです。これは、Wixがサーバー(ホスティング)、システムのアップデート、セキュリティ対策までを一括で提供・管理するオールインワンのプラットフォームであることを意味します。利用者はインフラの管理を一切気にする必要がなく、サイトの「デザイン」と「コンテンツ制作」に集中できます。


WordPressは「オープンソースCMS」

一方WordPressは「オープンソース」のソフトウェアです。ソフトウェア自体は無料ですが、Webサイトとして公開・運用するには、別途自分でレンタルサーバーとドメインを契約し、WordPressをインストールする必要があります。また、サーバーの管理、セキュリティ対策、本体・テーマ・プラグインのアップデートは、すべて利用者の自己責任で行わなければなりません。


【比較1】ターゲットユーザーと利用目的


Wix Studio:デザイナーと制作会社(エージェンシー)

Wix Studioは、公式に「Web制作者・エージェンシー向け」と明言されている通り、プロのデザイナーや制作会社をメインターゲットに据えています。クライアントワークを効率化するための共同作業機能や、高度なデザインをノーコード/ローコードで実装できる環境が特徴です。


 WordPress:開発者からブロガーまで

WordPressは世界で最も高いシェアを持つCMSであり、そのターゲットは個人ブロガーから大企業のメディアサイト、大規模ECサイトまで、あらゆる層をカバーしています。特に、システム要件が複雑な場合や、サーバーサイドのフルカスタマイズを必要とする開発者に適しています。


【比較2】デザインの自由度とエディタの操作性


Wix Studio:ビジュアル中心の高度なノーコード

Wix Studioは、ピクセル単位での配置、CSSグリッドやFlexboxベースのレイアウト、カスタムブレイクポイント(画面幅ごとのデザイン調整)など、最新のCSS機能をGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)で直感的に操作できます。AIによるレスポンシブデザインの自動生成機能もあり、コーディングなしでのデザイン自由度は非常に高いレベルにあります。


WordPress:テーマとブロックエディタ、そして「コード」

WordPressのデザインは「テーマ」が基盤となります。近年の「ブロックエディタ」と「フルサイト編集(FSE)」により、ノーコードでのデザイン自由度は向上していますが、Wix Studioの直感的なビジュアル操作には及ばない側面があります。WordPressの真の自由度は、PHP、CSS、HTMLのコードを直接編集できる点にあり、コードが書ければデザインに制約はありません。


【比較3】機能拡張性(アプリ vs プラグイン)


Wix Studio:「App Market」による審査済みアプリ

Wix Studioは「Wix App Market」を通じて機能を追加します。ここで提供されるアプリはWixによって審査・最適化されており、互換性の問題や競合が起こりにくいのがメリットです。ただし、WordPressに比べるとアプリの総数は限られており、非常にニッチな機能は見つからない可能性があります。


WordPress:「プラグイン」による無限の拡張性

WordPressの最大の強みは、6万種類以上とも言われる膨大な「プラグイン」の存在です。ECサイト構築、SEO対策、会員機能など、ほぼ全ての機能がプラグインで実現可能です。しかし、品質は玉石混交であり、プラグイン同士の競合による不具合や、更新が停止したプラグインによるセキュリティリスクは、自己管理が必要です。


【比較4】運用・保守(ホスティングとセキュリティ)


Wix Studio:フルマネージドで「メンテナンスフリー」

SaaSであるWix Studioは、サーバーの監視、セキュリティパッチの適用、システムの自動アップデート、バックアップの全てをWix側が行います。利用者は、サイトがハッキングされる心配や、アップデート作業に時間を取られることなく、本来の業務に集中できます。


WordPress:「自己責任」での保守管理が必須

WordPressは、これら全ての保守管理が利用者(または契約する制作会社)の責任となります。PHPのバージョンアップへの対応、WordPress本体・テーマ・プラグインの定期的な更新、セキュリティプラグインの導入と監視、定期的なバックアップの取得など、安定稼働のためには継続的なメンテナンス作業が不可欠です。


【比較5】開発とコードカスタマイズ(Velo vs PHP)


Wix Studio:「Velo by Wix」によるローコード開発

Wix Studioでは「Velo by Wix」というJavaScriptベースの開発環境が提供されています。これにより、フロントエンドのインタラクション制御や、Wixのインフラを利用したバックエンド処理(データベース連携、外部API接続など)をコードで記述できます。ただし、あくまでWixのプラットフォーム内での開発となります。


WordPress:「PHP」によるサーバーサイドの完全制御

WordPressは、テーマやプラグインが主にPHPで構築されています。開発者はサーバーサイドのロジックを自由に記述でき、データベース構造の変更や、外部システムとの複雑な連携も可能です。サーバーのルート権限さえあれば、カスタマイズに制限はありません


【比較6】コスト(料金体系)


Wix Studio:予測可能なサブスクリプション

Wix Studio(およびWixのプレミアムプラン)は、月額または年額払いのサブスクリプションモデルです。料金プランに応じて機能が異なりますが、ホスティング代、SSL証明書代、サポート費用が全て含まれているため、ランニングコストが明確で予測しやすいのが特徴です。


WordPress:変動的で「構成次第」のコスト

WordPressはソフトウェア自体は無料ですが、サーバー代(月額数百円~数万円)とドメイン代(年額数千円)が最低限必要です。さらに、高品質なデザインを求める場合は有料テーマ(買い切りで数万円)、特定の機能が必要な場合は有料プラグイン(月額または年額)の費用が発生します。初期費用を抑えられる可能性もありますが、トータルコストは構成次第で大きく変動します。


【比較7】サポート体制


Wix Studio:手厚い公式サポート

Wix Studioのプレミアムプランでは、公式のカスタマーサポート(優先チャット、電話サポートなど)を利用できます。

プラットフォーム側で問題が発生した場合や操作に困った場合に、直接専門家のサポートを受けられる安心感があります。


WordPress:コミュニティベースの自己解決

WordPress自体には、直接のサポート窓口は存在しません。サポートは、世界中の開発者やユーザーが参加する公式コミュニティフォーラムや、Web上に無数に存在する技術ブログやドキュメントを頼りに、自己解決するのが基本となります。


あなたの目的に最適なのはどっち?

Wix StudioとWordPressの違いを7つの視点で比較しました。

  • Wix Studioが最適なケース:

    • サーバー管理やセキュリティの手間を完全に排除したい。

    • 高度なデザインをノーコード/ローコードで効率的に実装したいデザイナー

    • クライアントワークの制作・管理効率を最大化したい制作会社

    • 公式の充実したサポートが必要。

  • WordPressが最適なケース:

    • サーバーサイドの独自開発や、データベースのフルカスタマイズが必要。

    • 膨大なプラグイン資産を活用し、複雑なシステム(大規模メディア、特殊なECサイトなど)を構築したい開発者

    • ホスティング環境を自由に選定したい。

    • コストを最小限に抑える(または自由にコントロールする)必要がある。

どちらが優れているかではなく、「あなたのプロジェクトとスキルセットにどちらが合っているか」が最も重要な判断基準です。

比較項目

Wix Studio

WordPress

基本概要

Web制作・管理に必要なすべてを提供する統合型プラットフォーム

自由にインストールして使えるCMSソフトウェア

サーバー管理

不要(Wixがすべて管理・最適化)

必要(ユーザー自身でサーバー契約・管理)

セキュリティ

Wixが担当(自動更新・監視)

ユーザーの責任(プラグイン/本体の更新、対策が必要)

操作難易度

ノーコード/ローコード 直感的なビジュアルエディタ中心

知識が必要 ダッシュボード操作に加え、高度なことはHTML/CSS/PHPの知識が求められる

デザイン自由度

高い レスポンシブAI、高度なアニメーション、CSS Gridなどをビジュアルで制御可能

非常に高い テーマのカスタマイズ、プラグイン、独自コーディングにより制約はほぼない

機能拡張

Wixアプリマーケット(厳選されたアプリ)

膨大な数のプラグイン(数万種類以上)

公式サポート

あり(専門チームによる手厚いサポート)

なし(コミュニティフォーラム、制作会社、サーバー会社のサポートが中心)

コスト構造

月額/年額のサブスクリプション(プランによる固定費)

変動費(サーバー代、ドメイン代、有料テーマ/プラグイン代など)

バックアップ

自動(Wixが管理)

基本的に手動(またはサーバー/プラグインで設定)


次のステップ

まずは、両方のプラットフォームを無料で体験してみることをお勧めします。

最初の一歩として、Wix Studioの無料アカウントを作成し、最新のビジュアルエディタの操作感を試してみてください。

同時に、WordPress.comの無料プランや、「Local」などのローカル開発環境ツールを使って、WordPressのダッシュボードやブロックエディタを操作してみましょう。

百聞は一見に如かず。実際に触れることで、使い勝手の違いが最もよく理解できるはずです。


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